東京新聞(4月2日付)に尾木直樹のコメント掲載
投稿日:2008年4月2日 カテゴリ:コメント
体力も全国テスト 必要なのか 戸惑う学校
昨年度からの小6・中3対象の全国学力テストに続き、国公私立の小5・中2の全員を対象に始められることが急きょ伝えられた文部科学省の「全国体力テスト」。夏休みまでに学力、体力の2度の全国テストの“波”にさらされ、結果をもとにした改善策も求められる学校現場からは戸惑いの声も漏れる。
【尾木直樹のコメント】
文科省は競争依存症
学校は正直だから、もし反復横跳びの結果が悪ければ休み時間に反復横跳びをし、50メートル走が遅ければ走る練習をするだろう。自治体や学校の競い合いになるのが目に見えている。文科省は、学校が競えば物事が改善されるという競争依存症にかかっている。個々の子供の状況は学校が把握すればよい。国は現場を信じてサポートするのが仕事で、必要な情報は抽出調査で十分得られる。全国学力テストで文科省が「朝食を取る子供は正答率が高い」と分析したように、国が“理想の子供像”を示すと、学校が子どもをその鋳型にはめ込む恐れがある。体力調査でも同様の事態が起きないか心配だ。