スポーツ報知(6月12日付)に尾木直樹のコメント掲載
投稿日:2008年6月12日 カテゴリ:コメント
秋葉原無差別殺傷:凶悪犯罪引き起こした82~83年世代に共通する「空洞化」
6月9日、東京秋葉原にて通行人を無差別に殺傷した加害者は現在25歳。1997年に起きた神戸の連続児童殺傷事件で逮捕された少年、2000年、西鉄高速バス乗っ取りの少年は82~83年生まれで同学年だ。ともに、犯行予告・声明や、凶器に刃物が使われた点も共通している。
【尾木直樹のコメント】
この世代に類似の無差別殺傷事件が相次いでいる理由の一つに、「学力観の転換」が挙げられる。彼らの世代から、学力の定義が、点数ではなく「関心・意欲・態度」となり、態度がよくなかったらいい成績がもらえなくなった。塾でも、意欲をアピールするために「授業ではとりあえず手をあげろ」と教えていた。そういうバカげたシステムを取り入れたために、頭のいい子が他人の目ばかり気にして「態度のいい子」を演じるばかりで、中身がどんどん空洞化していった。
(尾木はこれらの事件を「バーチャル劇場型事件」と名付け)彼らはネットタウンの中で主人公を演じていた。思春期には、本当は自分の汚い側面とも向き合わなければいけないのに、ネットの中で主人公を演じてしまう。それでは心神が病んでしまい、本物の人間が育つわけがない。