中日新聞(7月18日付)に尾木直樹のコメント掲載
投稿日:2008年7月28日 カテゴリ:コメント
14歳バスジャック事件:思春期コミュニケーション 叱り方不安
親から叱られた腹いせの犯行-。愛知県内の東名高速道路で起きたバスジャック事件で、逮捕された中学2年生の少年(14)と父親とのトラブルが背景に浮かび上がった。親子関係を問う形となった事件に、同じ14歳の中学生を持つ父母からは「親の責任の重さを感じる」などと不安や戸惑いの声も。専門家は「子どもとのコミュニケーションを心がけて」と訴えている。
【尾木直樹のコメント】
難しい技術必要なし
14歳というのは、まさに大半の子どもが思春期を迎える年齢だ。良くも悪くも自分が見え始め、自尊心が育つ時期。大事なのは親がしかる際に、子のプライドや尊厳を傷つける言い方や態度を絶対にしないことだ。
今回の事件で少年は、女子生徒との交友をしかられたという。「根性が曲がっている」と言われれば誰でも腹が立つ。異性との関係に踏み込まれ、恥ずかしさもあっただろう。「親に恥をかかせたい」という動機は、その仕返しではないか。
おまえは頭が悪い、何回言ったらわかるの、おれの話を聞いていないのか…。こうした頭ごなしのしかり方は禁句。大人の自己満足で子に心は届いていない。キレて理解できない反応を示す時もある。
「どうした」と声を掛け、言い訳でも言い分を受け止めてやりたい。子どもは成長しながら自分が見え始める時期だからこそ、「まずいな」と気づくこともできる。コミュニケーションを心がけ、“気づき”を促せば、難しい技術は必要ない。