朝日新聞(5月2日付・関西版夕刊)に尾木直樹のコメント記事掲載
投稿日:2009年5月11日 カテゴリ:コメント
学校・塾、漢検離れ
公益事業の検定でもうけた金が前理事長側に流れているのではないか。こんな疑惑が持たれている財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市)の漢字検定を敬遠する動きが広がっている。教育現場では、団体受検を見送ったり、単位認定や入試などで上級資格を優遇してきた措置の見直しを検討したり。6月の検定実施は決まったが、受検者を約289万人にまで増やした「人気検定」の足もとが揺らいでいる。
文部省(当時)が財団法人として協会の設立を認可した92年度の受検者は約12万人だったが、97年度に100万人を突破し、08年度は過去最多の約289万人に達した。なぜここまで伸びたのか。
93年の学校教育法の施行規則の改正により、漢検や英検を高校の単位に認定できるようになったことや、大学などでAO入試や推薦入試が広がり、「基礎学力の担保」として漢検が合否判定で考慮されるようになった影響が大きい。
【尾木直樹のコメント】
教育評論家の尾木直樹・法政大教授(臨床教育学)は「漢検は国の後押しで成功した」と指摘する。02年1月、当時の遠山敦子・文部科学相は「学びのすすめ」というアピールを出した。アピールの具体策として、漢検や英検での目標を定め、達成した子どもをほめるよう促した。
背景には「ゆとり教育」があったという。授業時間や学習内容を減らしても、国は学力向上をないがしろにしないとの姿勢を示す狙いがあったとされる。尾木さんによると、これ以降、学校単位での団体受検が加速したという。