2009/6/5 Fri.
投稿日:2009年6月5日 カテゴリ:虹の小噺
昨日、尾木とともに東京地裁に行ってまいりました。
昨晩のニュースでも大きく取り上げられていましたが、前都立三鷹高校の土肥信雄氏が、「退職後の非常勤採用で不合格とされたのは不当」として、東京都教育委員会に対し慰謝料などを求める訴訟を東京地裁に起こしました。尾木は提訴後の記者会見に同席しました。
記者会見の様子
土肥氏は、都教委が2006年に出した職員会議における「挙手禁止」通知を、「言論弾圧につながる」として批判。都教委に対して何度も「公開討論」を申し入れてきました。しかし、都教委はその必要はないと、ことごとく“拒否”。その上、昨年の11月には「学校経営の適正化について―校長・副校長からの状況把握の結果―」(http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr081113g.htm)で、「規則改正や適正化通知が学校現場の言論の自由を奪っているものではないと考える」と発表しました。
ところが、この調査は都教委が都立学校の校長・副校長だけに行った「ヒアリング」の結果であり、極めて一面的な内容でした。市民団体が行った都立高校の教員へのアンケート結果によれば、「言論の自由に悪影響があった」との回答が約8割を占めています(http://date369g.blog54.fc2.com/)。
2009年3月末で定年になった土肥氏は、退職前に非常勤教員の採用試験を受けました。この試験は例年95%前後の合格率ですが、なんと土肥氏は「不合格」。在職中、「懲戒処分」を受けていない土肥氏は不合格になる理由は思い当たらず、「意見表明したことへの報復」ではないかとみています。そして、ついに昨日、「退職後、非常勤教員に採用しなかった都教委の決定を『裁量権の乱用による報復』として、都を相手取り、約1850万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした」(朝日新聞、09/06/05付)のです。
本件については、尾木も当初から「応援団」の一員として記者会見やシンポジウムなどで発言しています(詳しくは岩波ブックレット『学校から言論の自由がなくなる ある都立高校長の反乱』をご一読ください。当ホームページの「書籍のご案内」からもご購入いただけます)。昨日も、記者会見に同席し、「処分も受けておらず、生徒や保護者たちから慕われているこんなにいい先生を「不合格」にしたのは、明らかに不当。これは“いじめ”だ」とコメント。これからも応援していきたいと話しました。
ここからは、ちょっと私見も交えてこぼれ話などを。。。
記者会見の席上、土肥先生(いつもこう呼ばせていただいているので^^;)が生徒達からもらったという「卒業証書」と色紙を見せてくださいました。そこには、「いつも名前で読んでくれて嬉しかった」(土肥先生はいつも、在校生全員の名前を覚えていたそうです!)、「部活の様子やケガを心配してくれてありがとう」などといった心からの感謝の言葉がずらっと並んでいました。記者会見には卒業生も駆けつけ、「担任でも部活の顧問でもなかったのに、土肥先生のことがいちばん記憶に残ってる」と話していたのが印象的でした。高校生ともなると、教科担任制ですし、担任であってもちょっと距離のある関係になりがちです。まして、校長先生なんて、よっぽどのことがない限り、話すらしたことがないというのが普通ではないでしょうか(ちなみに私は名前すら思い出せません(*_*;))。土肥先生はいつも「私はこう思うけど、もしかしたら間違っているかもしれない」、だからこそ「話」をしたいのだとおっしゃいます。これって、民主主義の基本中の基本、ですよね。でも、今の都教委は「話」をすることすらせず、「要塞」に立てこもって逃げているようにしかみえません。そういう意味では、裁判になれば都教委も対応せざるをえないでしょうから、今後の動きを注視していきたいと思います。ちなみに、初対面の時、土肥先生はご自分のことを「桃屋(のイメージキャラクター)にそっくりでしょ」とおっしゃって、ちょっとメガネをずらしてポーズしてくれたのですが、確かにそっくりです(笑)。「ごはんですよ」を食べるたびに思い出して、ちょっと笑ってしまうのでした。
教え子、保護者から贈られた色紙
6/22にテレビ朝日系列で放送されている「テレメンタリー」(深夜2時40分~)で、土肥先生のドキュメンタリーが放送されるようです。ぜひ皆様もご覧下さい!(W)