東京新聞(8月1日付)に尾木直樹のコメント記事掲載
投稿日:2009年8月4日 カテゴリ:コメント
こちら特報部 遅すぎた?子育て教育支援マニフェスト
自民党のマニフェストが31日、発表された。話題を集めた民主党のマニフェスト「子ども手当(1人当たり年間約31万円)」「公立高校無料化」などに触発されたかのように、「パパ・ままにもっと笑顔を」と、子育て支援の“理念”が語られている。だが民主党の政策を「選挙用のバラまき」と批判したせいか、具体性に欠ける。たしかに財源は大切だが、政府が子育て・教育支援にかける費用は、諸外国と比べ異様に少ない。この優先順位のゆがみこそが問題なのだが…。
【尾木直樹のコメント】
もともと日本は、教育にお金をかけてこなかった。出遅れ感は強いが、それでもこうしたマニフェストが出てくることは評価していい。「バラまき」なんてとんでもない。子育てと教育は財源論で語ってはならない。国民の“ライフライン”です。
極端にいえば、日本はお金がなければ学べない国です。高校の授業料を取る国は、日本に韓国、イタリアにポルトガルを加えた4カ国ぐらい。教育費負担の急増と所得格差の拡大で「教育の機会均等」という原則すら守られていない。
学力世界一といわれるフィンランドが小学校から大学院まで教育費と給食費は無料。国際経済競争力でもトップレベル。日本もせめて高校までは教育費を無料にすべきではないかと思う。
教育は、人生前半の社会保障。国際社会の当たり前が日本では当たり前ではない。このまま“教育鎖国”を続けていれば、国家の存亡にかかわる問題になると政治家は認識すべきだ。