週刊朝日(7月2日号)に尾木直樹のコメント掲載
投稿日:2010年6月25日 カテゴリ:コメント
横浜・山口 高1が同級生刺傷 学校の危ない「6月病」
6月15日、横浜市の女子高校で高校1年の少女が隣の席の女子生徒を包丁で刺し、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。大胆な犯行とは裏腹に、同級生の間で影の薄い存在だった少女。中学の同級生は「いつもうつむいて、自分からしゃべったのを見たことがない」と振り返る。その事件の2日後、今度は山口県で高校1年の少年が同級生の女子生徒を包丁で刺し、自らの携帯から通報、銃刀法違反と傷害の容疑で現行犯逮捕された。2人は同じクラスだったが特に親しい関係もなかったという。少年は事件前夜、進路をめぐって母親と口論になっていた。横浜市と山口県の事件はともに高校1年生で、現場は教室の中、凶器は包丁。そしていずれの生徒も将来、看護師になることを夢見ていたという。突然にみえる凶行がなぜ続いたのか。
【尾木直樹のコメント】
高校1年の6月は、教育実践論では最も危険な時期だとされている。いじめの第一波が起きる時期でもある。いろんな中学から知らない人が集まってきて、4月はまだ人間関係や担任の力量を様子見しているが、5月から授業や学校行事が本格化して、それぞれの個性や力関係がわかってくる。相互関係が最も流動的になりやすい時期なんです。
おとなしい子も活発な子と同じように心が活発に動いているが、外には言わないから何が起きていても発覚しにくい。おとなしい子にはもっと自分を出すように、活発な子にはおとなしい子にも気を配れるように指導すべき。報道で見た事件が無意識にインプットされ、似たような行動に走らせる『観察学習効果』によって、同様の事件はまだ続発するかもしれません。